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燃焼排ガスなどに多く含まれるNOx(窒素酸化物)は、呼吸器障害や酸性雨などの原因物質として知られており、主に都市部を中心に厳しいNOx排出規制が設けられるようになってきました。こうした傾向は、大気汚染防止への関心が世界的に高まる中でますます強くなるものと予想され、将来的には船舶用エンジンに対するNOx排出規制の強化も予定されております。

当社では、排ガス中のNOxを低減する脱硝システムとして、圧縮空気不要のエアレス還元剤注入システムを採用した低コスト・省スペースのARIS SCR System を始めとし、大型用途向けのエアアシスト還元剤注入システム、簡易型アンモニアガス注入システム、脱硝触媒については、ディーゼル・ガスエンジン排ガス用から高ダストアプリケーションまで様々な排ガス性状に対応可能な製品を取り揃えており、お客様の用途に応じた最適なシステムを構築、ご提案しております。




一般的に選択接触還元法またはSCR(※1)とも呼ばれる方式、排ガス中に還元剤を注入し、脱硝触媒上で酸素との反応に対して優先的にNOxと反応させ、無害な窒素と水に還元浄化するシステムとなります。還元剤としては、従来アンモニアガスもしくはアンモニア水(安水)を使用する方式が主流でしたが、現在では特に中・小型の分野で、安全性の高い尿素水を還元剤として使用する方式が多くなっており、当社の製品においても尿素水式を基本としております。
※1:Selective Catalytic Reduction
    

尿素水式脱硝のプロセスとしては、尿素水分解/アンモニア生成、NOx選択還元反応の2つのステップから成り、それぞれの反応式は下記のようになります。
 Step1 尿素水分解/アンモニア生成
 高温(300~450程度)の排ガス中へ注入された尿素水は、排ガスの熱によって2段階で分解され、
 最終的に1molの尿素から2molのアンモニアが生成されます。
   (NH2)2CO NH3 + HNCO
   HNCO + H2O → NH3 + CO2
(熱分解)
(加水分解)
 Step2 NOx選択還元反応
 尿素水の分解により生成したアンモニアは、脱硝触媒上でNOx(NOもしくはNO2を想定)と反応します。
   4NO + 4NH3 + O2 → 4N2 + 6H2O
   2NO2 + 4NH3 + O2 → 3N2 + 6H2O
   NO + NO2 + 2NH3 → 2N2 + 3H2O
以上の反応過程により、NOxは最終的に無害な窒素と水へと還元浄化されます。



ARIS : Advanced Reagent Injection System
   - 画期的なエアレス還元剤注入システム -

還元剤の注入方式としては、尿素水やアンモニア水のような液体還元剤用として2流体式のエアアシストノズルを使用するものが一般的ですが、当社ではエアレス還元剤注入システムを採用しております。本方式の採用により、液体噴霧用としての圧縮空気が不要となり、システム構成をシンプル化、還元剤注入装置の大幅な小型・省スペース化を実現しています。
一方で、大型脱硝設備など、大容量注入用としてエアアシストノズルタイプもラインアップ、その他簡易型アンモニアガス注入システムなど対象設備に合せたオプション選択が可能です。

 photo. エアレスインジェクター
  



脱硝触媒としては、一般的にチタニア-バナジウム系と呼ばれている酸化チタン(TiO2)を担体とし、触媒活性成分として酸化バナジウム(V2O5)の他、タングステン(WO3)等を担持したハニカム触媒を採用しております。
触媒形状としては、


 photo. (上) 小型触媒モジュール 
 (下) 大型触媒モジュール 
  ■ セラミックハニカム
セラミックハニカムに被覆担持したコーティングタイプ、または触媒成分を混練成型したソリッドタイプ。多種セルサイズがラインアップされ、低ダスト~高ダスト、低温活性タイプ、高温活性タイプなど、様々なアプリケーションに対応可能。
  ■ メタルハニカム
金属ハニカム構造体の表面にウォッシュコート層を形成し、触媒活性成分をコーティングしたタイプ。通気性に優れるためセル密度を高く設定することで触媒量を抑え、コンパクトな反応器とすることが可能。

等の各種触媒より、処理対象となる排ガス性状(温度、ダスト量、被毒成分の有無)やメンテナンス性を考慮した上で、最もコストパフォーマンスの高いタイプを選定しております。
     
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